ユースワークとは
ユースワークと言う言葉は直訳すれば「青少年への支援活動」とでもいう意味になりますが、このページでは、主にヨーロッパ圏で長く実践されている、青少年・若者に対する福祉・教育・保健・労働などを包括したアプローチやその考え方のことを指して使います。 ユースワークが早くから発展してきたヨーロッパ圏では、ユースワークを以下のように表現しています。
-
ユースワークは、グループのあるいはひとりひとりの若者のための、若者による若者とともに行う、社会、文化、教育、環境、政治など様々な活動に及ぶ広義の用語である。
-
ユースワークは、有償もしくはボランティアのユースワーカーによって提供され、若者のノンフォーマルかつインフォーマルな学びの過程と主体的な参画に基づくとされる。
-
ユースワークは、本質的には社会的実践であり、若者や、若者が暮らす社会と協力し、若者が地域社会や意思決定に積極的に参画できるようにするものである。
- 『Youth Work』Recommendation CM/Rec(2017)4 Council of Europe2017/和訳は両角達平・津富宏『国際関係・比較文化研究』(静岡県立大学国際関係学部)第20巻第1号による。
ユースワークの特質や方法
-
ユースワークは「場」を作る実践
あらかじめ若者の獲得目標を設定したり、カリキュラムを作って臨むというよりは、若者とワーカーの相互の関わりの中で出てきた「問い」や「課題」をとらえて、共にそれを深めていく(探求する)ことが大事だと考えます。そのために、それを可能にする若者が自らの意思で参加する「場」を形成することに力を注ぎます。
-
集団・コミュニティ
集団やコミュニティの中において若者が生きていることを前提として、そこに働きかけ、それらが持つ力を生かしていきます。若者が生きる世界も多様であり、貧困、孤立、病気、ジェンダーバイアス、格差、世代間対立といった課題を含む中で生きていることをユースワークは踏まえるとともに、若者が社会に参画していくことを促していきます。
-
対話と若者との関係づくり
対話と信頼関係構築から取りかかろうとします。例えば喫煙のような「問題行動」を取る若者に対して、いきなり怒鳴ったり、出て行けといって排除したりするのではなく、若者のことを知り個別の関係が出来てから、行動・態度の変容を願っていくよう考えるのです。
-
経験
活動への参加体験を通して、体験の中で若者が何かを学んだり変化の機会をつかんだりするプロセスを重視します。特に「楽しさ」とそこに織り込まれた「チャレンジ」を生かします。
-
伴走
ワーカーが若者に教えるだけの関係ではなく、若者とともに考え学びつつ「付き合い続け」ようとします。
日本におけるユースワークの範囲と担い手
日本における学校外における青少年教育・青少年(育成)活動は、行政におけるもの、民間団体によるものが幅広く展開されています。 但し、大人が命令しそれに従う存在、支援の対象としてだけ子どもや若者を見てしまっている活動もあり、その中で「生」や「今、ここで」の子どもや若者としっかり向き合えているか、は考えなければなりません。 このような現状であるからこそ、日本でも「子どもや若者の主体的な参画による学びの場づくり」というユースワークの必要性があると考えています。
協会が考えるユースワーク
本協会では、若者に対してユースワークに長年携わってきた経験をもとに、「ユースワーク」「ユースワーカー」に対して独自の定義をしています。但し、この定義に対しては、事業を展開していく中で、議論を重ねて定義を刷新していくものだと私たちは捉えています。
定義
若者を子どもから大人への移行期にいるすべての人と捉え、若者が権利主体として自己選択と決定が保障される自由な活動の場を若者とともに形成し、若者及び若者と関わる大人やコミュニティ、社会システムに働きかける実践である。
- 立命館大学と京都市ユースサービス協会の共同研究「ユースワーカー養成研究会」による、ユースワークの定義(YW養成研版2021)です。
協会の考えるユースワークの
役割
若者の生活空間の中で、当たり前に若者の側にいる存在
現在、若者にとって、自分の所属する家庭・学校・職場の状態次第では、所属先で何か課題が起きても、ひとりで抱え込みやすい社会状況になっています。だからこそ、社会的活動に関わり、地域社会やコミュニティで居場所を持つことがとても重要になってきています。
そのような現代社会の中で、若者の生活空間において、どこにいても若者に寄り添う形で多様なユースワーカーが関わることができるようになっていること。それこそが、ユースワークそして本協会の役割だと考えています。
協会のおこなっている
ユースワーク活動
ユースワークに4つの観点から取り組む
本協会は、「場づくり」「ささえる」「つなげる」「つたえる・ふかめる」の4つの軸からユースワークの事業に取り組んでいます。京都市の若者・青少年の自主的な成長を後押しするため、京都の地域・団体を巻き込んで活動しています。
ユースワーカーとは
若者の成長を手助けする専門スタッフ
ユースワークにおいて重要な役割を担うのが「ユースワーカー」です。本協会では、若者とともに場をつくり、社会と若者の間に存在し、若者の成長を支援するスタッフのことをユースワーカーと呼んでいます。